梅田

ようこそ、革命シネマへ/木々について語ること ~ トーキング・アバウト・ツリーズの梅田のレビュー・感想・評価

3.5
映画文化が根絶やしにされた独裁政権下のスーダンで、還暦過ぎの老人たちが集まり、市政の人々のために無料の上映会を開こうとする。チョイスが『ジャンゴ 繋がれざる者』というのがまた良い。上映許可をとるための行政とのやりとりは本当に絶望的な気分にさせられるが、主人公たちのタフさの根源はオプティミズムだ。この半世紀のうちに何度政権が打倒され、入れ替わってきたか知っている百戦錬磨の男たちは、何があってもへこたれない。ソ連への留学時代に制作した自分の映画を数十年越しに見つけ出したように、彼らはきっとやり遂げるはずだ、というしたたかで不屈のエネルギーが通奏低音のように響いていた。

アバンの映画撮影ごっこのシーンがまるでペドロ・コスタみたいでめっちゃカッコいい。全編通じてドキュメンタリー離れしたキレッキレの構図とライディング、編集。テロップは人物名や作品名くらいでナレーションは無し、舞台となるスーダンの政治的な情勢についても説明的な部分はほぼ無しというストイックな作りでもある。
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