言葉はいらない。
舞台はナチス・ドイツによって約56万人ものユダヤ人が殺害されたと言われるハンガリー。
終戦後の1948年、ホロコーストを生き延びたが、家族を失った16才の少女クララは、妻子を失った42才の寡黙な医師アルドに出会う。
同じ境遇の2人は、やがて家族のように寄り添い合う。
この物語は、言葉で伝える部分が少なく、アルドの過去やお互いの心情を表情や映像で表している処に、惹かれます。
アルドの手首に収容所に入ってたときに付けられと思われる刻印を何気なく写したり。
淡々と静かに物語は進み、特に彼の一言や表情で語る所が切ない。
ラストのアルドの表情が特に秀逸。
きっとそうなんだね。
でも、きっとこれで良かったんだ。
と、見ている側にそう余韻を残す。
それが、とても美しくもあり、そして切ない。
ふたりの間に言葉はいらない。