ヤマダタケシ

僕の好きな女の子のヤマダタケシのネタバレレビュー・内容・結末

僕の好きな女の子(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

2020年8月30日 シネマカリテで

・奇妙礼太郎の『エロい関係』を連想したりした。
・冒頭、LINEのやりとりが繰り広げられる画面の中、ニヤニヤしながら主人公が歩いて行くシーンがとても良かった。
・というかひとつのシーンの中で関係性が重なったり、変わって行くシーンはどれも本当にすごかった。
・何者でも無いシンガーソングライターの存在がある瞬間に意味を持ち始め、主人公にとっては風景だった彼にとって、主人公は同じように背景だったってのが立ち上がる瞬間に鳥肌が立った。
・ふたりでいるときの、世界はふたりのために存在しているような最強感と、同時に主人公にとっては関係性をはっきりさせないこの間柄に対する不安がある。
・なんとなくこの二人では無い時のそれぞれはそれぞれの暮らしの中で弱さがあるような雰囲気があった。
・二人でいる時の、2人にしか通じないノリで会話し続ける事の恥ずかしさと愛しさと、そういう言葉でしか話せない事の、実はものすごく臆病な関係性ってのが観ていてヒリヒリした。
・で、その関係性が客観視される瞬間が何度もあって、それが作中でゆらぐ。
・最後に、ラスボスのように現れる太賀は(てか玉田信也作品は毎回太賀のラスボス感がある)主人公がふたりのノリで話して、ずっと避けていた本当の逃げない言葉で話す人で、それによってまさに〝モラトリアム〟として続いていたふたりの関係が終わる様な。
・主人公が語る作中作への言及「恋愛に行かない手前の関係性の豊かさ」は、まさにこの映画自体の感想にもなる言葉だけど、それすらも現実、ある種の真摯さと対峙せざる得なくなるところが凄い!