麩

すばらしき世界の麩のレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
3.5
出てくる人がみんな「善人」「悪人」と分けきれない球体のような本物の人間たち。
障害のある彼が起こしたミスは人の命を奪いかねない、あまりにも重大なミスだし、
三上さんを助けてくれる人たちだってひとことで良い人、とは言い切れないような姿までがちゃんと描かれてて

西川美和監督の作品は
そういう、「物語のための善人の役」「悪人の役」みたいなのがいなくて
みんなちゃんと動機と意思がある本物の人間たちだから好き
世の中を必要以上に美しくも汚くも描かずに、徹底的に「世の中って実際こんなもんで、正直生きるのってキツさの方が圧倒的に多いけど、それでもがんばってるとたまにこんな奇跡みたいな美しい瞬間もあるよ」みたいな作品を届けてくれるから大好き

今回もその系譜で大好きだったんだけど
ラストだけ飲み込めなかった…
この、実際我慢ばっかりで、のわりにそこまで楽しくも無い世界を、それでも時々「すばらしき世界」と感じられるよねって、そういう美しい一瞬が人と人の間にはあるよねって続き方をしていってほしかったなぁ
このクソみたいなすばらしき世界からあんなにあっさり卒業していっちゃったら
苦しみも美しさも全然足りなく無いですか!?!?って思っちゃった 
私のこの地獄はあと何十年続くんだ?
耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えてその中で本当に一瞬すばらしい時があるよねって三上さんと言い合いたかったのに
こんなにもすぐいなくなっちゃうのかよ〜
一緒に生き地獄にいてよ〜

役所広司、こんなにも凄い役者さんだと思わなかった
上手いのは周知の事実でしたがここまでとは、、、、、、、
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