明石です

すばらしき世界の明石ですのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.7
敵対組織の人間を殺し、13年の刑に服し出所した元ヤクザ。カタギの日々は挑戦続き、だけど人の優しさに助けられ、少しずつ世界に馴染んでゆく。この映画は良い。良すぎる。「普通から外れた人間」の苦難を、元受刑囚を通じて描き出す。そこに「普通から外れた人間」の普遍が詰まっているから、こんなに面白いんだろうと思う。

本作の作り手はきっと言葉への感性に持って生まれたセンスがあり、それを発揮したくてウズウズして映画を撮るようになったんだろうな。以下、好きな台詞のメモ。

「彼が暴力団にいたのは20年も前ですよ?こういう人を網の目から落とすようなことがあれば、それこそ、またヤクザへ押し戻すようなものでしょうが」

「罪の意識はないですか?薬打ったり、拳銃持ったり、人を脅して海に沈めたりとか。悪いことしてるって感覚、ないですか?」
「ないねえ。ようやった、頼りになるって。俺のごた人間でも、目をかけてくれるもん。あんたも、誰かが褒めてくれる場所におりたかろう?」

「社会のレールから外れた人が、今ほど生きづらい世の中ってないと思うんです。一度間違ったら、死ねと言わんばかりの不寛容が蔓延って。だけどレールの上を歩いてる私たちも、ちっとも幸福なんて感じてないから、はみ出た人たちを許せない」

「娑婆は我慢の連続ですよ。我慢のわりにたいして面白うもなか。けへど、空が広いち言いますよ」
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