ちろる

海辺のエトランゼのちろるのレビュー・感想・評価

海辺のエトランゼ(2019年製作の映画)
3.6
原作は未読。評価が高いので気になって観てみました。

とにかく作画、背景が素晴らしく、スタッフの愛に包まれていると感じる作品。
さわやかな風のなびき方や温度、湿度さえも感じられるような美術と色彩、どれもクオリティが高い。
若者BL映画だということで、ほんとは少し躊躇していましたが、この作画のお陰ですんなりと世界に入りこめた。

物語で、駿と実央の関係は、複雑に生きてきてしまった駿が、実央の存在により救われ、一方で母親の愛情を無くしポッカリと開いていた穴を満たしてくれた駿に救われていく実央。
婚約者の存在や、実家への帰郷など、心がざわつく演出を挟みつつ、互いに気持ちを確かめ合うまでのあれやこれやを爽やかに描いている。
濡れ場?は少なく、個人的にBL好きを萌えさせるような、くすぐったい映像は少なかったのは個人的には良かった。
2人の関係と共に、同じく愛し合う女の子同士の描写もあり、その誰もが優しく、恋の邪魔をするような人がいない穏やかな世界。
激しいやりとりはなく、彼らがたまに喧嘩したり、美味しいご飯を食べたり、そんな風景を微笑ましく眺めて楽しむ作品なのでしょう。
私は好きでした。

私もBLというと少し色眼鏡で観てしまうことがあるわけですが、普通の男の子がたまたま女の子ではなく男の子の方を好きになっただけ。
それ以上でもそれ以下でもないんですよね。

ゲイだからとか、レズだからとか気負わず、このアニメの世界のように、皆が色んな価値観を優しく見つめられればいいなと改めて思いました。
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