たこす丼

花束みたいな恋をしたのたこす丼のネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
2.2

このレビューはネタバレを含みます

2021/04/17 TOHOシネマズ新宿
劇場内はカップル、女友達、限界独身男性に3分されていた。元明大前住民としては、あのきったねぇ街を上手く切り取ってノスタルジックに描くのはさすがと思ったが、若気の至り、獣の情欲、など生々しいものをぶちまける映画としては象徴的な舞台とも言える。
後半は倦怠期に陥ったカップルの心境を独り言として延々聞かされるはめになり、当然勢いもなくなりこちらはげんなりして眠くなる。しかし、この映画はどこまでいっても独り言の応酬であり、友人の結婚式で主人公それぞれが友人に決意を告げるシーンがそれを端的に表している。
音楽は大友良英さんで演奏陣もその界隈の素晴らしいミュージシャンが起用されているが、曲自体は凡庸で特筆すべきものでもなかった。「仕事」とはそういうものだと、劇中の誰かも言っていた。
おなじみの人気俳優が主要キャラクターを演じる本作、エンドロールの最後の方に文化庁の助成を受けた映画であることを示すクレジットが。映画界が厳しい、というのは聞く話だが、これだけ有名俳優、音楽家を起用するようなメジャー映画も助成の対象になるのかと正直驚いた。「選択と集中」を推し進めるとはこういうことかと。守られるべきものが守られる制度であってほしいと思う。
色々書いたが、『騙し絵の牙』を観て「主人公の心情描写がもう少し…」みたいな戯言を口に出した自分を恥じる機会を与えて頂いた点については良かった。独り言を延々聞かされるのはなかなかつらいことが分かったから。吉田大八監督は最高です!
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