たこふみ

花束みたいな恋をしたのたこふみのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

先日のNHKスイッチインタビュー「坂元裕二×新海誠」で、新海さんがこの作品について語っていたので遅ればせながらみた。

新海さんが語っていたのは、最後のファミレスの場面。あるカップルが麦と絹のそばの席にやってきたその瞬間、かつての二人の姿と思って涙が出たとのことだった。あの場面で速攻でそう感じるなんて、さすが新海さんの感性は鋭い(私の感性が鈍いだけかもしれない)。

あるサイトのレビューで、「最後に二人は愛しているにもかかわらず、別れるという選択をした」と書かれていたが、そうだろうか。本当に愛していれば別れないと思う。二人が別れたのは、そばの席に座ったカップルの姿を見て、もうお互いに愛情がなくなっていることを再確認し、これ以上関係を続けて傷つけあうよりも、いま別れることで美しい思い出を美しいままに永久保存しようとお互い無言のうちに合意したからでは。打算とまでは言えないが、そのあたりの恋愛観ないし美的感覚を含めて、2人とも実によく似ていたということだろう。

まあ、若いんだしこれからの人生長いんだからいいんじゃない、と身も蓋もないことをいってしまうが、人によっていろいろな見方がある映画だと思うし、そんな作品を書く坂元裕二はさすがだと思う。
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