ちろる

静かなる男のちろるのレビュー・感想・評価

静かなる男(1952年製作の映画)
3.8
アメリカのピッツバーグから小さな旅行バッグひとつで幼い頃生まれ育ったアイルランドの片田舎にやってきたショーン。

惚れた女の思うような男になるために守ってきた価値観を捨て去る潔さよ。
後半のはちゃめちゃドタバタ劇が一気にストーリーをユニークに演出してくれる。

「静かなる男」って言うからもっと寡黙でニヒルな男を想像してたけど、土地に来たとたん女口説く大胆なアメリカ気質の男だったのね。
そんなマドンナであるケイトはこういう作品では稀に見る気の強い女性。
ラストにあんな風に引き回されても、最後笑ってる。すごいわ

何にも無い田舎だからこそ、パブで飲むことも喧嘩が村人の楽しみで、ショーンが村で訪れた事で始まるレッドとの抗争にみんな心のどこかでワクワクして煽ってる感じ。
アイルランド🇮🇪のストーリーって近代だと閉塞感のある宗教観に押しつぶされそうな規律厳しそうなイメージがあったのだけど、この田舎は「持参金」というこだわり以外は割とおおらかな感じであった。
低予算作品ともあって、広大な自然が絵画による背景だった箇所もあったのだが、不思議と閉塞感を感じさせない開放感のある鮮やかな映像がハッピーな気分にさせてくれた。
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