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カモン カモンのmsのネタバレレビュー・内容・結末

カモン カモン(2021年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

なんでもない会話、なんでもない日常を見つめる視線が穏やかでエモーショナルで、ドキュメンタリーを観ているような気持ちになる映画だった。演者たちの大袈裟じゃない自然体なお芝居が心地いい。白黒であることがこの作品を普遍的な「私の物語」にしてくれている気がする。

ジョニーとジェシーが「叔父と甥」という関係なのが絶妙だった。実際の父子では逆に生まれないであろう親友同士みたいな距離感が愛おしい。それを演じるふたりの仲良しぶりを見ているだけで心が和みニコニコしてしまう。
確執があるのであろう妹との仲や母の死のこと、過去にあったいろいろについてはわざわざ説明しない、言い過ぎないバランス感覚が好き。
劇中で使われているインタビュー映像は実際に録音されたアメリカに住む子供たちの声らしくて、こんなにしっかり自分の意見を持っていることにも驚く。

JOKERの次の出演作にこれを選んだホアキンもかなりセンスいいし、なにより甥っ子ジェシーを演じるウディ君がもう、これでもかってくらい超絶的にキュートだった。ふわふわの巻き毛、舌ったらずの喋り方、無防備な笑顔、ちっちゃい身体で機材を抱えて街中歩き回るジェシー、なんて可愛いんだ…。年相応のやんちゃな言動と幼さの中に垣間見えるちょっとした陰がたまらん。演技しているということを忘れさせるナチュラルな佇まいのウディ君、ROOMでジェイコブ・トレンブレイを見た時以来の「すご・・・」を感じた。パンフで「ティモシー・シャラメ大好き!」って言ってるのが可愛い。

モノクロの映像もリッチで美しく、時折はっとするような音響の演出があり、映画館で観る甲斐のある作品だった。
あとこれはパンフがちっちゃくて端正ですごく素敵なので買いだと思います。
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