本作はどこにでもおこりうる話で、娯楽作品でも芸術作品でもないが、その後の人生や人格の形成に最も重要な子供、子供時代とその将来について考える時間をもたらす素晴らしい映画だった。
自分はこうだったなとか、こういう記憶があるなとか、自分の親はどうだったんだろうかとか、観ている私に置き換えて考えてしまったり、物語としての起伏は少ないが、個人の状況や精神状態を丁寧に描く事によって、より豊かにドラマを感じることができた。
私事で忙しい隙間などにこの映画を観たらまた感想というか感情もまた違ったと思う。
2人の演技は本当にすごいな。
ジェシーも本当にそこでそうしてる子供にしか見えないし、ホアキンフェニックスもその子供に振り回される伯父さんにしか見えない。
完全に個人的な話だが、私が幼稚園に通っている頃に、ある日突然、母が「今日は天気も良いし幼稚園サボっちゃおうか」といって休んだ事がある、別に体調を崩していたわけでもないし、母や私の精神状態もいつも通りだったと思う。
そんな日は初めてだったが、その日は気の向くままに録画したテレビドラマをみたり、好きなパンを食べたり、特別な事はしなかったが、これが私の記憶に強烈に残っている。
幼稚園に行き社会に順応していくのも大事だが、気分が良い日にあえて社会活動を休み、好きに過ごす。
とても幸せな時間だったし私のその後に大きな影響を与えた気がする。
すっかり成人した後に、その時の事と、その後それに救われる日があった事を涙いっぱいに貯めて感謝を伝えた。母ははっきりと覚えてはいなかったが、嬉しそうであった。
他人は完全には理解できないが、家族は最も距離が近くよく観察している他人として、相手を尊敬して、感情をまじえて会話、コミュニケーションを取る事は大事だと思った。
またそれは家族のみならず自分の人生においてかかわる人全てに言えるだろう。
