菜南子

ミッドナイトスワンの菜南子のレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
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トランスジェンダーの女性、凪沙のもとに育児放棄の母親を持つ親戚の中学生、一果がやってくる。凪沙は一果を少しの間預かることになる。一果は感情の表現が苦手で、すぐ物で人に当たってしまう。転校先の学校でもうまくいかない。そんな時、バレエ教室に出会い、バレエを始めることがきっかけで彼女は新しい感情表現や、世間から離れた自分のセーフティゾーンを手に入れていく。凪沙はトランスジェンダーである自分の理解されなさから、そういった心の平穏を求めることを辞めていたが、徐々に一果に感化され、自分らしく生きようとしていくが、、

2人とも世間に理解されず、他人に共有できない苦しみを胸のうちに抱える孤独な女。没頭する時間だけ自分らしくいられる。そんな2人は苦しみの共有がこの映画の核であるが、何か、トランスジェンダー、また育児放棄という特異なものを消費してしまう映画に思えた。トランスジェンダーが生きづらい社会であることに間違いないが、その社会で何が苦しいのかを、どんなことが苦しみの種なのかを扱ってほしかった。トランスジェンダーという型に押し込めてしまっていて、彼女のパーソナリティは二の次になっていると感じた。
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