ゆきえい

ミッドナイトスワンのゆきえいのレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
3.9
ショーパブで働くトランスジェンダーな凪沙と、育児放棄された一果が、バレエを通して心を通わせていく。
草彅剛なトランスジェンダー、けっこうな違和感かもと見始めたけど、不器用な優しさが少しずつ母性に変わっていく様が案外素敵。一果の言葉少ないながらの葛藤とそれが丁寧に紡がれて重なっていく様子に、とても心打たれました。
お母さんって呼ばれたときの表情が何とも愛おしくて。

ただ、LGBTQという言葉が社会に浸透してきている中でも、まだまだつま弾きされ必死に生きていかなければいけない様が、終始切ない。日常的な様々な迷いや生活の不安定さに現実を突きつけられる。バレエの先生の何の偏見もなく接する姿が逆に新鮮なほどで。
夜の公園で自由に舞う凪沙と一果、白鳥の湖のオデット姫が重なり、その切なさに拍車がかかり、見ていてただただ心が苦しくなりました。


個人的には、もう少しそのマイノリティに希望が差すような、そんな世界であってほしい。と。色々と深く考えさせられます。