ゆきえい

MINAMATAーミナマターのゆきえいのレビュー・感想・評価

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)
3.8
日本人なら絶対に学校で習って知ってる水俣病。それを写真を通して世界に実情を知らしめた写真家ユージン·スミスをジョニー・デップが演じる。

ロケ地はセルビア、事実とは異なることも多いというけど、水俣病を患った現地の子に写真を教えたり、真田広之演じる抗議リーダーや國村隼演じる社長さんなど、実在の人とエピソードの再現も高く、実際の写真や映像を差し込み、ドキュメンタリーを見てるようでした。
国の多大な発展と利益のための犠牲に目を背け続け、被害が確認されはじめてからユージーンが写真を公開するまでおよそ20年。同じ人間として理解に苦しむ。とはいえ、当時の地元の雇用を支える大企業、自分の置かれる立場や生活との間で苦しむ人だって多かったはず。

今も加害した側も被害された側も一緒にその歴史の上で暮らしているであろう水俣。この映画に水俣市は最後まで支援はしなかったという。
でもやはりどんな形であれ語り継がれるべきであろう事実。それをジョニー・デップが企画主演し、ハリウッドとして出すことで、またこうやって日本人が色々考える機会が増えることは、大切だなと思う。

「入浴する智子と母」アイリーンと遺族の話し合いにより公開が実現した、20年以上封印されていた写真。
母の愛と水俣病の現実のコントラストに、心が持っていかれます。