ノラネコの呑んで観るシネマ

ミッドナイトスワンのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
4.8
これは凄い作品だ。
草彅剛演じるショーパブで働くトランスジェンダーの女性と、シングルマザーに捨てられた中学生の少女。
生き辛さを抱えた二人が出会い、ドラマチックな化学反応が起こる。
真っ暗なトンネルに見えた小さな光は、少女が唯一うちこむバレエ。
しかし才能を開花させるにはお金がいる。
映画は孤独な二人を軸に、閉塞した様々な人たちを描いてゆく。
男に貢ぐトランスジェンダーの女性、バレエの道を経たれた同級生、そして少女を捨てたシングルマザーも。
全員が這いつくばって、喘ぎながら歩んでいる。
ドラマの緩急が絶妙で、その描写は時としてやり過ぎ感が出るギリギリ。
相当ショッキングなシーンもある。
冒頭から草彅剛が凄みを見せ、少女役の新人・服部樹咲がベテラン相手に互角の存在感。
映画のキーとなるバレエも手抜き無しで、説得力たっぷりに見せるのがいい。
コロナ禍の中でも快作・傑作が続出する今年の邦画の中でも、インパクトは最大級。
社会的な問題を扱っているし、ヘビーな作品なのは確か。
だがそれで敬遠しようとしてる人には、なによりももの凄く面白い娯楽映画だと強調しておきたい。
ブログ記事:
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