Lilly

ミッドナイトスワンのLillyのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

俳優陣の抜群の感性に支えられた作品だと感じた。
草彅剛の憑依的な演技力。
彼が生まれ持った素の個性を透明化した上で、この配役に見事に成り変わっていて、トランスジェンダーの苦しみを体現していた。汗とか涙とか、悔しさとか、身体の細胞から絞り出てきたような印象さえ受けた。

一果のバレエは、柔和で羽のように軽やかで儚く美しかった。バレエと出会い、内面も身体も成長していく過程を、ごく自然に演じていた。彼女の出で立ちから、何色にも染まってない無垢さと、無限の可能性を秘めた強さを感じれた。

残念だなと感じたのは、大事なところが途切れたような展開。
そして、せっかくバレエシーンや凪沙と一果のショットで、独特の世界観や気品のある映像美が完成してるのに、
その一方で、意図的に観る人に衝撃を与えたくて、挟みこんだ感じの幾つかのショット。病む人の尊厳を守るという視点と配慮は?
女性の心を持つ人は皆、大切な胸を守ろうと下着で保護するから、倒れてもあんな風にならないのでは? 

映画は後世にも、表現芸術の一つとして映像がずっと残る。海外にも羽ばたいて、世界中の観る人の記憶にずっと残るから。

芳しくない予後の表現で、比喩や会話表現の工夫等、観者の心に訴える、より美的で違ったカタチを探れたのではないかな?と感じたりも。

でも、俳優達、は、素晴らしかった。
Lilly

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