ドキュメンタリー番組のディレクターである主人公・木下由宇子は、3年前に起きたいじめ自殺事件を追っていた。
内容や構成についてテレビ局の上層部と対立するも、真実を報道すべく、取材対象者にも踏み込んだ取材を重ねていた彼女であったが、ある日、父親からとある事実を聞かされることになる。
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舞台挨拶回に鑑賞し、春本監督が話されていた中で特に残ったことがふたつ
●物語の中のフィクションとノンフィクションの境界について
この作品は物語。
すなわちフィクションとノンフィクションどちらの要素もあるわけだが、
ひたすらに真実を追求することはドキュメンタリーで表現することであり
物語は、ノンフィクションの部分の根幹を大切にしたまま、いかにフィクションとしていくか(自己解釈です)
●答え出すのではなく、登場人物に寄り添ってほしい
前者については、映像・舞台問わず、作品を観る側として、どう咀嚼すべきか。
やっぱり作品を観る中で「こんなはずない!」と思っちゃうことって結構あるんですよね。
それって、あくまでも自分の物差しに過ぎないので、ちょっとハッとしました。
後者は鑑賞前に聴いたのでよいヒントに。
あらゆる登場人物を"自分がこの立場だったら"と考えると、これがなかなか苦しい作業。
当たり前ながら、他人事と自分事では同じ問題でもどうすべきかは大きく揺らぐと思う。
そこで改めて自分に問う「正しさとは何なのか」
おそらく正解のない問いに自分がどのように向き合うべきか。
常に頭の片隅で考え続けることくらいしか思い浮かばないけど、そんなことを考えさせてくれる作品だと思います。
娯楽作品というのでないので、万人受けするものではないし
ただただ笑って泣けて感動してすっきりできて面白い作品もよいのでしょうが、
監督さんが自分の伝えたいこと表現したいことを全霊で作り上げ
観客に突きつけるような作品っていうのは、映画としての魅力が増すのだと思いました。
学生さん向けの鑑賞会もあるみたいだけど、道徳の教科書より遥かにリアルな学びがあるのではないかと。
それで映画が面白いって思う若者が増えたらいいですよねぇ。
気になった方は、ぜひ劇場でこの体験を。
例によって、映画のタイトルを検索するとサジェストに
”ネタバレ”って出てくるのだけど、結論だけ分かればいいなんて映画はこの世に存在しないと思う。