由宇子の行動は間違いなく不正義なものだけど、彼女自身はそこまで悪い人には見えない、ああいったドキュメンタリーを作って、人に寄り添おうとしてるわけだし。じゃあそんな、一般的に善良と言えるだけの心を持ち合わせた彼女が、なんで誤った選択をし続けたかというと、それは世間からの法に基づかない有形無形の社会的制裁を恐れていたからだよねと。で、現実社会でもこれと同様の構造はあるんだから、この映画を見た我々は、映画内であえて描かれていない世間というものに目を向けなければいけない。そして、世間とは私以外の誰かのことではなく、私の集合なわけだから、この映画を我が事として、スクリーンからこちら側に引き寄せなければいけない。
