アカンベーダー

エルヴィスのアカンベーダーのレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
3.6
悪いトム・ハンクスよい。さすがです。最後まで胸糞悪い嫌な奴だったわ。この映画の見どころはソコかな。

さて、エルビス・プレスリー。ビートルズファンからしたら、絶対王者で尊敬してやまない存在なんですけど、この人の伝記やるって相当プレッシャーだよな。
オースティン・バトラーのプレスリーの仕草や話し方、似てるー!というか若い時代の歌はオリジナルじゃないんだ😳!うまいし特徴も捉えていてびっくりした。
ただモノマネだけではね。エルビスのキャラクターの強烈さや、晩年を演じるのは、あの若さでは無理あるだろうけど、大健闘ではあったと思う。

そしてロック草創期の面々にもときめきました。B.B.キング師匠、リトル・リチャード、ファッツ・ドミノ…白人ミュージシャンが黒人音楽を堂々とリスペクトする流れってここからじゃない?まだ人種隔離政策が敷かれてたアメリカ国内で活動してる身では命の危険すらあったろうに。兵役か監獄か…って極端だけどリアルな気がする。

映画の感想。上映時間長いのは気にならなかったけど、ちょっと前半のまとまりのなさは落ち着かなかった。パーカー大佐目線なのでプレスリーに感情移入することもなく。中盤くらいから話も面白くなってきたかな。なんにせよ、この時代の音楽業界、人種の考え方、プレスリーの音楽史上の立ち位置などある程度基礎知識ないとちょっとついて行けないような気もする。音楽を知るきっかけとなれば良いけども。

個人的には68年のカムバックライブで大好きなIf I can dreamを大々的にやってくれて嬉しかった🥹
でもケネディ暗殺は63年だから、カムバックライブ収録中にその事件きっかけに新曲書き上げた、は時系列的におかしい?キング牧師暗殺の方がまだ近いけど、それも4月、、ライブ12月でしょ?
ライブ収録中に銃声が聞こえてケネディが撃たれたニュースを聞いて悲しみを乗り越えるために一夜で新曲書きあげたみたいな、急に舞台みたいな演出も違和感あったけど。史実がエンターテイメント化してるなーと思った。

「全部実話!」と広告してたけど、ディスコグラフィー映画は映画向けに脚色するものだし、引くほどの闇エピソードは描かないものだし、なんでわざわざ実話とか言うのかな🙄

そしてラストの、ご本人映像。これ挿入するか否か賛否あるだろうけど、あってよかったと思います。
亡くなるほんの1ヶ月ちょい前くらいのステージで、話すのも息上がってるし、長い時間立っていられない、華美な衣装を着ている太ったプレスリーって痛々しくて見ていられないんだけども、歌い始めてあの声量よ…全身全霊の歌声。泣くわこんなもん。

こんな才能溢れる大スターなのに、酷使されて利用されて…スターって孤独だなと落ち込んで劇場を後にしました。