ノラネコの呑んで観るシネマ

子供はわかってあげないのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

子供はわかってあげない(2020年製作の映画)
4.7
沖田修一監督作では、「横道世之介」以来一番好き。
上白石萌歌演じる高二の水泳少女が、ふと思い立って幼い頃に離婚して以来、ずっと会ってない豊川悦司の父ちゃんを訪ねる。
しかもこの父ちゃんは、人の頭の中が見える特殊能力をもつ、新興宗教の教祖さまらしい。
主人公がアニオタ設定で、冒頭のアニメ番組をガチの陣容で制作するなど、ディテールが凝りに凝っている。
そしてこのアニメが、細田佳央太演じる気になる男の子のモジくんのみならず、トヨエツとの仲も取り持つんだな。
アニメはコミュニケーションツールなのだ。
ちょっとユニークな夏休みのバケーションを、沖田監督らしい陽性の笑いが包み込む。
「子供はわかってあげない」というタイトルだけど、大人目線でも子供目線でも、わかり合ってゆく話。
主人公の成長物語としても、キュンな初恋物語としてもよく出来てる。
スクリーンから吹き抜ける夏の匂いが心地よく、138分の長尺も気にならない。
上白石萌歌はキャラクターにピタリとハマり、文句なしのキャリアベスト。
モジくんの細田佳央太も、劇的に上手くなってて驚いた。
そしてトヨエツは、そろそろ”怪優”と呼びたくなって来たな。
ブログ記事:
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