ベルベー

ブラックアダムのベルベーのネタバレレビュー・内容・結末

ブラックアダム(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

評判イマイチぽいしそんなに面白くないんだろうなと思ってたら普通に面白い映画。残念なのはこれの続編作る気がワーナーに全くなさそうなことくらいか。

ストーリーは単純明快。アメリカのヒーロー達が助けに来てくれない某国の破壊神が蘇り、圧政者共を皆殺しにしようとする。それを放っておく訳にはいかないアメリカはヒーローチームを派遣する。果たして戦いの行方は…以上だ。雰囲気はさながら品位に欠ける「ブラックパンサー」、欠けすぎて「第9地区」とかの方に片足突っ込んでるが、それ故に左程頭を使うことなく話に没入できる。他のDC映画の予習も必要なし。

強いて言えばアメリカの指揮官が極悪人であることが「スーサイド・スクワッド」シリーズ履修してると分かるし、「シャザム!」シリーズ観てたらええ、その力ってそんなシリアスなヤツだったのー!?とか楽しめるポイントは増えるが。ポストクレジットのアレはちょっとだけ知識あった方がいいか。でもあのポストクレジットが丸々無意味になりそうなのが問題なんだよな…フランチャイズ再編問題…。

閑話休題。件の闇堕ち破壊神ロック様と件のヒーローチーム、彼等の対立が観ていて苦にならない。むしろ見事にストーリーを牽引している。何を当たり前のことをと思うかもしれないが、ここで引っかかるヒーロー映画が近年やたら多かったのだ。

思うに、ご存知あのヒーローとご存知このヒーローを対決させる、商業的には正しそうな展開がストーリー的にはストレスになってたのかなって…だってバットマンとスーパーマンがずっと戦ってたら「そんなことよりさっさと悪を倒せ!」って思うじゃん。やーいDC叩かれてるーwって油断してんじゃねえぞマーベル、お前らだって2016年以降内ゲバ展開に逃げすぎだし「スパイダーバース」は正にその問題起きてたからな。

そこに至ると、今回は破壊神ロック様もヒーローチームの4人も映画で観るの初めましてで思い入れがない。そんなことで!?なんだけど、だからこそ正義vs正義やられてもストレスがなかった。本当はコイツら全員ロクデナシの可能性ないー!?って半信半疑で観られる訳だし。ちなみに全員聖人だった。結果好感度爆上がりっていう…なんか不良が子猫を云々と同じ作用な気もするが。ちなみにこれ「ゲインロス効果」っていうらしいですよ。今調べました。

古から蘇り大暴れするロック様は映画デビュー作の「ハムナプトラ2」を彷彿とさせて懐かしい気持ちに。まあ当時と違って露骨に悪役を演じるのを嫌がっている節があるロック様なので、テス・アダムも最恐のアンチヒーローと言いつつ、普通に良い奴感を隠す気すらないのは一長一短というところ。ちなみにこれ「ウィル・スミス効果」っていうらしいですよ。今考えました。

対するヒーローチーム"ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ"(名前ダサとか言ってはいけない)の面子も好印象のキャラばかりで…なんか能力的にもビジュアル的にもどっかで見たことある気がする人多くない?とか言ってはいけない!ホークマンカッコいいだろ!鷹と隼は別だろ!デッドプールとスパイダーマンとアントマン足して割ったような奴いるよねとか言うんじゃない!良い奴だったろアイツも!

一番カッコよかったのは会話の返しも一々スマートなイケオジ、ピアース・ブロスナン。イケオジというかもうお爺ちゃんになってて驚いたが、お爺ちゃんでもカッコいい。良い年の取り方してる。ヴィランを演じたマーワン・ケンザリはどこか小物感が拭えないんだが、彼の場合「アラジン」でもそうだったけどやってることの凶悪さの割に小物っぽいのがまた味になる俳優だと思ってるので、これが正解じゃないでしょうか。

あと曲のチョイスが良かった。スマパン、ストーンズ、カニエと絶妙に治安悪い感じが。悪すぎないのが味。グロいんだけどしすぎることはない塩梅も丁度良かったし。ジャウム・コレット=セラはこういうブロックバスターを卒なく撮れる監督だと思うし。続編お蔵入りは勿体無いと思います!
ベルベー

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