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力道山のpongo007のレビュー・感想・評価

力道山(2004年製作の映画)
4.3
 戦後、ボロボロに傷ついた日本人に夢と希望を与えた力道山。プロ野球で王、長嶋らが活躍し始めるずっと前からアメリカ白人の大男をリング上でぼこぼこにし、日本人の心に尊厳を取り戻した英雄です。しかし、その人生は「日本の英雄」であると同時に「朝鮮半島出身者」に対する差別との壮絶な闘いなのでした。

 角界に飛び込んだ力道山でしたが、いわゆる「半島出身者」という理由で、実力はあっても番付は上がりません。気性の荒い力道山は、差別的な角界に見切りをつけ「西洋の相撲」であるプロレスに魅せられます。「プロレスの世界では、人種も国籍も関係ありません」と、タニマチを説得します。

 米国で修行し、日本に日本人として凱旋。その後の活躍は皆さんご存じの通り。しかし、日本の英雄、力道山は、有名になればなるほど、自らの出自を隠し通さなければならないのでした。なぜなら、日本人は差別が好きだからですね。特に「在日」「反日」「左翼」が大好物です。

 そもそも、1910年に朝鮮半島を一方的に‘’併合‘’したのは日本ですね。きれいな言葉が使われますが、侵略です。右翼の馬鹿どもは、欧米列強からアジアを守ったとかいうキチガイが少なからずいますが、そんな道理は世界では通じません。日本が侵略戦争をしたのは客観的、歴史的事実です。右翼の馬鹿どもって、これを頑固にみとめないんだよなあ。闇歴史を正当化する国家って、前進できないんですけどね。

 で、好きで日本に渡ってきた半島の方もいるでしょうが、強制連行された方々も数えきれませんね。力道山が自身の意志で来日したかは、力道山本人にしかわかりません。なにせ、戦前から戦後にかけてのどさくさな時代ですからね。ただし、日本が朝鮮半島を‘’併合‘’しなければ、朝鮮半島の方々が来ることもなかったわけですね。差別主義者はちょっとは歴史を学べよ。

 というわけで、出自を隠して日本の英雄になった力道山が、日本社会にまん延する差別と闘い、傷ついていく物語でした。本当に差別は嫌だ。

 ちなみにプロ野球巨人軍で活躍した王貞治さんや張本勲さんらも、右翼の奴らからしたら「在日」の「反日」なのかなあ。芸能界なんて、そこら中に在日の方いるけど、その人たちも、みんな「在日」で「反日」なのか?本作に出演した中谷美紀さんや藤竜也さんらも「反日」なのか?

 マイノリティへの差別をし続け、居直るキチガイ杉田水脈とかキワモノが人気あって、政権与党の自民党が杉田を擁護し続ける社会って、どう考えても病的でしょ。

 というわけで、差別主義者は本作を覩ても、理解できないと思うので観なくてよろしい。永遠の0とかみて感動してなさい。
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