あずさ

バビロンのあずさのネタバレレビュー・内容・結末

バビロン(2021年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

時代の入れ替わりと栄枯盛衰、スクリーンの裏の群像劇、カオスで贅沢な映像美で目がまわるようでした。
インパクトがある分、好きな部分も苦手な部分もありますが、良くも悪くも3時間がしっかり3時間に感じられた作品です。
好き嫌いは置いても、なんだかんだ色々言いたくなってしまうあたり、動かされるものがあったのかも。みて良かったです。

音楽や盛り上げ方はすごく好きです。
特に撮影シーンの目まぐるしさと熱気は見ていて楽しかったし、作品第一の各々の行動がちょこちょこ狂ってておもしろかったです。
熱量がほんとすごい。

ネリーとジャックと言う2人のスターも魅力的で好きです。
特にネリーは苛烈さの裏に女性的な湿っぽい繊細さが覗くのがファムファタール感があってセクシーでした。
序盤の主人公のネリーへの告白はかなり唐突に感じましたが、終盤まで想いを突き通すことで、泥臭くも美しく昇華されていくのが素敵です。
いわば2人のラブストーリーのクライマックス、1番綺麗なシーンで消えてしまうのもすごく正しいことのように思えました。

全編下品さはかなり気になりましたが、スターも人間、毎日がパーティというのを描くのに、生理的な部分の表現を強めたのかな〜。
目を覆うシーンは結構ありましたが、ごちゃ混ぜ感には圧倒させられましたし、楽しかったです。

終盤の演出は、私はちょっと合わなかったです。
すごくわかるし、この作品のメッセージを端的に伝えるには最適だとも思います。
でもそこに凝縮されすぎだし、作品外の要素過多で委ねすぎだし、少しズルさやあざとさを感じて素直に受け取りずらかったです。
もう少し短い時間なら良かったかも。

また事実にある程度則しているとは思いますが、人物やストーリーも露悪的・戯画的な描き方に感じていたので、そう言う部分からもあくまでバビロンの作品内の要素でまとめて欲しかったです。
他の作品そのものを使って、バビロンを飛び越えた映画讃歌に繋げられたことで、突然作品外の現実感がでてきて戸惑いました。
その広がりを楽しめたら良かったのかもですが、それよりも少し背負いすぎかなと思ってしまいました。

ただバビロンとはあまり関係の無い捻くれた感想なんですが。
私は俳優さんや作り手さん個人個人に強く興味がある方ではなく、作品をみるのが好きなだけで、スクリーンの裏のことは等しく関係がないなあ、色んな人達がいるんだなあ、みたいなものも所感としては強かったかもしれません。
あずさ

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