ハンスウ

大切な人を想うときのハンスウのレビュー・感想・評価

大切な人を想うとき(2018年製作の映画)
3.6
いかにも低予算でインデペンデントな小さい作品ですね。母子の関係と生と死、島の生活が描かれてました。息子が脚本家を夢見る青年なので監督の私小説的な作品なのかなあと想像しながら観てました。

その母子の関係性を丹念に描いている印象があります。母親がガンになりましたと。でも、もう治療を受けない。息子は治療を受けろという。そんなことでああでもないこうでもないとよくいがみ合うんだけど、そんな口うるさい母親に何度も愛想を尽かすような素振りの息子なんだけど、母親が体の痛みに耐えきれなくなったとなれば酒気帯びでも運転し病院まで送ろうとするし、母親も結局息子を頼る。

島であまさんをして生活をしてる人たちなんですよね。母親の長年のあまさん仲間も海で死にたいというし、自分の人生に死の問題がチラつき始めると海を思い浮かべるようです。そこは実際にそういう人がいそうな感じがしてリアリティを感じました。生と死と海が結びついている暮らしがあるんだなあと思いましたですね。

素直で切実で誠実な作品ですよ。今作は知ってる俳優が1人も出てなかったけど映画に対するマジメな取り組みは映像から伝わってきました。夢を追いかけようにもうまくいかない息子。いろんな過去があって海に潜る母親。そんな生活からの喪失があっても、ちゃんとやっていけるから大丈夫と、語りかけてくるような映画でした。
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