ピロシキ

アンテベラムのピロシキのレビュー・感想・評価

アンテベラム(2020年製作の映画)
3.8
「予備知識は最小限」系の作品、とりあえず冒頭からめちゃくちゃに引き込まれたことは書いとく。優雅な白人家庭の御殿→働く黒人奴隷たち→奴隷たちの住処→新たに連れて来られた奴隷(モネエ含む)たちが、流れるようなワンカットで繋がれていく長回しは、気持ちがいい。

ネタバレ厳禁とはいえども、いっちばん最初に出てくる "The past is never dead. It's not even past." という言葉そのものがこの映画の核心であり、その意味を真に理解したときに、蓄積していた「?」が一気に「!」に変わる。これはたしかに、何も知らずにみたほうがはるかに気持ちがいい。

とにかく何としてでも着地したい結末があって、そこに辿り着くために色々と、かなりウソみたいなフィクション展開が繰り広げられていたことは、少しモヤモヤ。とはいえ、我々が生きるノンフィクションの現実世界も、ウソみたいな真実だらけなんだよなあ。何も言えねえ。現実のほうがよほど「パラドックス・スリラー」である。
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