まず言っておくと、監督のリュ・スンワンは2023年現在、直近の「モガディシュ」が経歴の最高峰だと思うし、大メジャー監督まで登り詰めたと思います。
彼のここまでのルートは決して順風満帆とは行かなかったと思います。
2010年の「生き残るための3つの取引」でようやっと何と言うか一つのラインを越えた印象。そこからすれば、本当の意味でのメジャー映画第1作と言ってもいい2002年の今作は、勢いだけで良いんです!
これで良いんです!
むしろよくやったでしょう!
当然ね、ネガティブなこと言おうと思えばいくらでも言えるけどさ!
現在の名優たちを、これでもか!と当時の力量を十二分に発揮させたんだもん、見事じゃん!
今や”姐さん”のチョン・ドヨンが殴られまくり・・
巨匠イ・マニ監督の実娘イ・ヘヨンさんも体張りまくり!・・
このふたりは期せずして最近の「キルボクスン」に出演しています
また、監督の実弟リュ・スンボムも前作に続き重要な役回り。
名優チョン・ジェヨンがキレまくりの暴れまくり!!
とにかく2002年で針が振り切っているような映画には圧倒されますよ!
映画だけだとちょっと背景が描き切れていませんが、「死を告げる女」において狂気の母を演じるに至るイ・ヘヨンさんが、昔金庫荒らしで鳴らした前科者で現タクシードライバー・・そして元ボクサー:チョン・ジェヨンの彼女には元ラウンドガールのチョン・ドヨン。
実はイ・ヘヨン演じるギョンソン”オンニ”とチョン・ドヨン演じるスジンが映画の主人公。
血も涙もない取り立て屋に自分ではない人間の借金を返しつつ、その取り立て屋もまた追い立てられ、人生の一発逆転を狙う闘犬賭博屋と、対立する元締め、そこを狙う警官・・・
まさしく血も涙もない奴たちが悲しくも滑稽な争いを起こします。
リュ・スンワン氏はそれまでに韓国に無かったノワールを作ろうとしたと回顧しています。属するジャンルとして《パルプ・ノワール》という言葉も踊ります。
つまりは下劣なノワール。下品なノワール。低俗なノワール。
勢いと迫力はもうかなりのものなので、良かったらご覧ください。
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