matchypotter

パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女のmatchypotterのレビュー・感想・評価

4.0
パクソダム、良いね。実は結構可愛い。
『非常宣言』観て、そのままこの流れも良い。

『トランスポーター』『ベイビードライバー』とかに近い。
爽快なドライブテクニックを駆使したカーアクションと、そこから派生するハードな揉み合いへしあい。
疾走感に加えて韓国らしいタフさも兼ね揃える。

すっかり韓国映画にハマる。
次々に出てくる骨太なドラマや日本ではなかなか表現できないエグさやハードさ、そして、テンポが良く錯綜してもしっかり回収するストーリーラインが良い。
今回もとても楽しめた。

いわゆる“運び屋”。
表向きは廃車工場、裏稼業で“運び屋”を請け負う。

そのドライバーがパクソダム。
誰かの逃亡などを請け負い、飄々とした見た目と裏腹に巧みなドライブテクニックで追っ手を交わすドライバー。
あのサイドブレーキ、めっちゃ無骨でカッコいい。

今回もいつもの依頼で“お客”を拾って港まで、、、のはずが。そのお客が、子供1人。

当初の依頼と違うことや何やら運んで終わりにならなそうな展開となり、最初は子供を放置して帰ろうとするが、なんやかんやとその“依頼”をこなすことを決める彼女。

その“なんやかんや”の部分には、彼女のアイデンティティが背景にもあり、ドライに仕事と割り切ってもなかなか割り切れない彼女の何かにスイッチが入る。

このパクソダムの母性というのか、見捨てられない、見限れない複雑な心境とどんどん親身になっていく表情や内面の移り変わりがとても良い。

彼女にとっては最初はただの“荷物”でしかない子供に対し、情が移りながら自分の過去と重ねながら、普段は絶対侵さない一線を超えていく。

そして、それがなし崩しから、徐々に彼女に使命感のようなモノが芽生えていく。

ぶっちゃけ、このパクソダムはかなり萌える。

飄々としてて、社長にも楯突いてガンガン報酬の交渉したりするがめつさもあって、お金のためにとんでもない依頼ですら簡単にこなす。

その反面、家で飼ってる猫と戯れる姿はそんな仕事をしてる骨太な女性には見えず。

子供とのやりとりも最初こそぎこちないものの、この子供の置かれた境遇にシンパシーを感じ始める。
そもそもこの子供もそこそそ生意気だけど1人ではどうにもできないという部分が彼女と似たり寄ったりでお互い歩み寄りつつ。

子供側も、見放されようとも自分のことを何とかしてくれるのはこの“おばさん”しかいないと直感的に感じてまとわりついたり、あれこれ聞いてきたり。
この子供の無邪気な感じも良かった。

途中でこの2人のロードムービーのような展開もあって、なんかちょっとほのぼのもできる。

何より、この2人の関係性の変化とパクソダムの心境の変化による行動の変化。
彼女はドライバーテクニックこそ一流であって、別に武術や格闘や捜査や駆け引きのスペシャリストではない。

そんな彼女が、たった1人の子供のために自分をなりふり構わず投げ出し始める姿が、カッコ良くて震える。

何か途中で観てるこっちがこの子供の心境になって、誰だかよくわからない彼女に守られてることで変な安心感が芽生えてくる。
が、そこからさらにこんな彼女のカッコ良さに惹かれて「彼氏になってあげようか?」とか言ってる生意気なクソガキに嫉妬してしまう、そんな映画。

韓国の映画、これとは少し毛色は違うが、『悪女』『魔女』など、“戦いに巻き込まれながらも戦う女性”系の映画はなかなか成功確率100%なのではないか。

とにかく、色々結局なんやかんやドライに捨てきれずに戦うパクソダムが素敵過ぎてファンになることは間違いない。


F:1969
M:1462
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