微少女

星の子の微少女のネタバレレビュー・内容・結末

星の子(2020年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

【板挟みはingにすぎないから、afterをもっと見たかった】

特筆すべきは、蒔田彩珠の好演。
過去シーンの厚みがあるからこその現在シーンの説得力なので、そこがいちばん良かったと思う。
「コーヒー」をキーワードに自由な世界を語った部分に拍手です。

また、家族社会と学校社会と宗教社会のなかで板挟みになるちーちゃんが、この映画を通してどんな変化を起こしたのだろうかというafterの部分は、ingにあたる板挟みだけでなく、最後に観客にぶん投げずにもっと見させてほしかった。(もっとも、ああしたくなる気持ちはわかるが……)

とはいえ、家族社会と学校社会と宗教社会の宗教のなかで、何をよすがにすればいいのか迷うちーちゃんの姿はリアリティがあり、ただでさえ思い悩むことで溢れている思春期を周りから「ヘンだ」と言われる宗教とともに過ごす苦しさは存分に伝わってきた。
個人的には芦田愛菜の「中学生らしい歩き方・走り方」の演技に底力を感じた。
特に、南先生に車中で親のことを不審者だと言われ、疾走をするシーンには思春期らしい辛さも苦しさも失恋も、いっしょくたになって投げ込まれていて素敵だった。

一方で、テーマの描き方についてはやや残念な印象だった。いわゆるステレオタイプな「新興宗教像」から抜け出すような驚きはなく、昨今の報道から一般人が想像できてしまう範疇だったように思う。

追伸
世武裕子の音楽が素敵すぎました。観客の救いになっていたように思う。
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