KnightsofOdessa

セイント・モード/狂信のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

セイント・モード/狂信(2019年製作の映画)
2.5
[ある狂信者の伝道] 50点

コロナの影響で作品数を絞りに絞ったA24が2020年に公開した二本のうちの一つ。もう一つは『First Cow』。本作品はホラー映画と位置付けられているが、こうも人間的な上で超自然的なホラーがあるのかと驚かされる。心肺蘇生に失敗した看護師キティ→モードが、キリスト教に転向して訪問看護をしながら伝道師として末期の患者を転向させようとする物語で、その狂信的で迷いのない(本人的には迷いしかない)姿には恐怖しか感じ得ない。彼女の標的となったアマンダは、死を目前に享楽的な生活を続けていたが、モードにはそれが許せず、宗教的に"正しい"道へと修正しようと試みる。神の声や雲の渦巻などが登場することで、カメラの目線が客観→主観にすり替わっていく感じは中々良かったとは思う(ラストで一瞬だけ元に戻るのがまた良い)が、全体的に映像効果や音楽によるビックリ箱演出で驚きは少ない。モード本人としては大いに惑い、血塗れになりながら己の信じる道を突き進んでいるのだが、個人的にはそこまで起伏もなく通り過ぎていったという印象。80分でも長いと思うが、80分にまとめたのは良い決断。

一番良かったのは心臓マッサージと騎乗位の連想だが、トラウマと現状の関連性が薄すぎるので単なる連想としてしか機能していないのが惜しいところ。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa