病気の女性を看護する敬虔なヒロインが、次第に彼女の魂を救済することを神から与えられた使命だと考えるようになり、徐々に行動がエスカレートしていく話。
唯一無二の世界観。ヒロインの視点では自分が神から使命を与えられた存在であり、実際に奇跡と思える現象が起こったり、彼女に神が語りかける場面もある。羽が生えた彼女が文字通り天使のように自分を考えている描写もある。しかしそれは全て彼女の視点であり、実際に彼女が経験している世界はその真逆。この対比が非常に不気味だった。実際は性の乱れや嘔吐、そして惨殺という見るに耐えない汚い現実が広がるのに、それを神による試練と解釈するヒロインの狂気は恐ろしい。そしてその対比の究極が見れるのがこの映画のラスト。この映画のラスト数秒は個人的には映画史に残る恐ろしいものだった。たった数秒だが、妄想と狂気の裏に隠された真実の残酷さをこれ以上なく印象付けられる。一瞬でここまて深く心に刺さる不快さは他の映画にはない。