みっけん

鹿の王 ユナと約束の旅のみっけんのレビュー・感想・評価

鹿の王 ユナと約束の旅(2020年製作の映画)
2.0
原作と違うような…と思って調べたらやはり違った。全く面白くないということはないが、原作で魅力に感じていた部分が無くなってしまったと思う。

原作は政治劇、呪術と医術の対立、習俗や世界観の緻密さなど、作者の文化人類学者としての知見がふんだんに活かされていた。超自然的なことも起こるけれど、それは物語世界においてもまさしく『超自然』であり、ファンタジーのための魔法ではなかった。
しかし、本作はストーリーラインをシンプルにしたためか逆に世界や登場人物の掘り下げが浅くなり、物語とその背景がわかりづらくなってしまったように思う。ファンタジーな描写も多く、それによって原作にあった現実感・リアリティが薄まっていた。
特に残念だったのは、サエの設定変更とミラルの削除。この映画のストーリーなら確かに不要な要素だけど、原作において骨子を成すキャラだからこそ作品の骨抜き感を強く感じてしまった。
そもそも2時間に収めるには無理なストーリー。改変を加えること自体が悪とは思わないし、原作と別物として見るべきかもしれない。改変に作り手のエゴは感じないので、たまたま制作者の味付けに自分が合わなかったんだと思うことにする。
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