公有地に無言で壁を作ろうとする老人の話。
彼が結局作っていたのは壁ではなく、それが壁に見えてしまうのは住民たちの心にまだ"壁"があるからなのです。
ベルリンの壁が破壊されても尚、大きな壁がそこにあったことを風刺するメッセージが感じ取られ、また造形物への深読みやバイアスの存在への皮肉も感じられる。バンクシーなんかが流行る昨今特に痛烈に刺さりますよね。
このバイアスという観点は映画観賞においても常に念頭に置くべきことでもあります。
彼らが最後に壊したのはベルリンの壁の再現ではなく、老人の儚い愛の形なわけでそんな本当の意味を必ず汲み取れていると過信するのは愚かだと私は思います。
悲しくて寂しい気持ちにさせられる映画です。傑作。
ちなみに「アメリ」に出ていたイザベル・ナンティーさんでてましたね。