モカ

プロミシング・ヤング・ウーマンのモカのレビュー・感想・評価

4.5
レイプカルチャーが一般化している日本にこそ必要な映画。
酔っ払ったから、肌の露出が多いから、家に行ったから、派手なパーティーに出たから。
それは同意と受け取られて当然?

なぜ性行為に限って被害者の責任が問われるのか。
例えば殴られる、刺される、殺されるとしてもそれは被害者の落ち度か?
答えは全てNOなはずなのに。

監督はKilling Eve S2のショーランナーより、The Crown S4のカミラ役のほうでお馴染みエメラルド・フェンネル。
製作は 'I, Tonya' や 'Birds of Prey'と同じくマーゴット・ロビーのプロダクションLuckyChap Entertainment。

当初キャシー役はマーゴット予定だったが、「今までこういう役を演じたことがない女優」にしたいというフェンネルの意向で、(本人曰く)陰のある女性役の多いキャリー・マリガンを起用。

キャリーは童顔で可愛らしいけれど同時に気取らない普通さも備えているので、
確かにハーレークイン・マーゴットよりも現実味がある。


キャシーが復讐相手として狙うのは下心丸出しの男たちだけではなく、レイプカルチャーを擁護する女性も含んでいる。
そこには性別の違いなどなく、誤った『認識』そのものが親友を悲惨な結果に追いやったことを明示している。

ただキャシーも完全なる悪女にはなりきれず、無邪気な少女や許しを乞う人は傷つけない中途半端さがあり、
そこは単なる復讐サスペンス映画とは違った点かもしれない。

全体的にベビーピンクやブルーの可愛らしいトーン、時代に取り残されたようなお姫様ファッションや部屋のインテリアに対し、
怒りに燃えるキャリーの内面との相反も一筋縄ではない面白さがある。

フェンネルによると、所謂『男ウケ』を纏うことで、物事がよりスムーズに捗ることを狙ったキャリーの作戦服らしい。


ラストの展開はかなり議論を呼んだようだけど、これをきっかけにこのテーマがもっと議論されてほしいとフェンネルは言う。

本当は川のシーンで終わらせるつもりだったらしい。その先もあってよかったと胸をなでおろした。
モカ

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