レイプされ自殺した親友のため、身近でレイプカルチャーに加担する者に復讐していく話。
同じ前途有望な若者でも、性別の違いで未来の大事にされ方に差がある。
本作のメッセージは、性被害を軽視する社会全体の態度、レイプカルチャーに向けられている。直接の加害者のみならず、「被害者側にも落ち度があった」と物分かりが良いようにふるまう同性や、「その場のノリに流されただけで自分に責任はない」とする傍観者に対しても問題提起をしている。
レイプカルチャーでは、性加害をしないように教えられるのではなく、性被害に遭わないように教えられる。本作を見て、「女性はお酒の飲み過ぎに注意しないと」などと思うのであれば、それもレイプカルチャーに加担していることになると思う。相手がどんな状態であろうと、同意なしの性行為がいけないことは、前提として共有されなければならない。被害の重さや悲惨さ、被害者にどれだけ感情移入できるかに関係なく、毅然としてあるべき前提。
そんなこと言いつつも、振り返れば私自身、レイプカルチャーに加担してる時がある。男友達が冗談で女性蔑視的な発言をしていても、空気を壊さないために見逃したこともある。本作を戒めとしたい。
最後は、なんともいえない後味…。性加害者に裁きを与えるためには、自分の未来を引き換えにするくらいの覚悟が必要だという現実を示しているのかな。それくらい今の社会にはレイプカルチャーが蔓延っている。
社会派メッセージを多分に含みつつも、ポップなエンターテイメントに徹していて見やすかった。