Garikuson

プロミシング・ヤング・ウーマンのGarikusonのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

週末のたびにクラブで泥酔したフリをして男にわざとお持ち帰りされ、その男に制裁を加える女キャシー。
かつては成績優秀な医大生で将来を嘱望されていた彼女だが、とある理由で大学を中退し、現在は小さな喫茶店でバイト生活。
30歳になっても実家で住み続け、友も恋人もなく、毎週のように朝帰りを繰り返すキャシーに両親も心配を隠せない。

そんな中、かつて医大で同級生だったライアンと偶然再会したキャシー。ライアンのアプローチもあり、キャシーも少しずつライアンに惹かれていく。
しかしそれは地獄の始まり。キャシーに一体何があったのか?彼女はなぜ男にわざと持ち帰られては制裁を加えるのか?彼女は何がしたいのか?


勝手なイメージだが、頭の切れる女が性欲の塊のアホ男達をコテンパンにやっつけて愉快痛快拍手喝采!男に負けない強い女性バンザイ!みたいなのを想像していた。
そんな単純な話ではなかった。痛快さもないし後味もよくない。なんとも恐ろしい話だ。


そもそも映画が始まった瞬間、クラブ音楽みたいな曲に合わせておっさんたちの下半身がドアップでくねくね動くシーンからすでに気色悪い。
これから浅はかな男の性欲による悲劇が始まるぞと言わんばかりの尖ったスタートである。

ライアンにしても持ち帰ろうとする男にしても、女の前では基本的にまずは紳士だったり、愛情を全面に押し出したクリーンな描写が目立つ。
しかし、象徴的なのがアルの独身最後の男だらけの山小屋パーティーの描写だが、もうホントにアホな男たちのハジケ方をうまく表現している。
キャシーがドスケベナースコスプレで登場したときにストリッパーだと勘違いしてキャッキャ騒ぐシーンや、正座して口に酒を注ぎ込まれるシーンなどもうアホ丸出しである。
ただ、この気持ちが全くわからないか、と言われると正直苦しい。多かれ少なかれ、身に覚えがない男性諸兄はいないのではなかろうか。
昔泥酔状態で仲間とピンクなお店に行って上裸で大騒ぎしたことがフラッシュバックした。もはや一緒やん。。。
アメリカも日本も年頃の男が集まってどんちゃん騒ぎするとこんな感じになるんだな。。。

一貫してこの映画は、なんというんだろうか、お前はホントに清廉潔白か?と鼻先に指を突きつけられてるような居心地の悪さを感じる。
酒に酔った女性が前後不覚なのをいいことに介抱するふりをして部屋に連れて帰って強引にチョメチョメ。
これだけ聞くと、正直そこらへんで普通によく聞くナンパ男のエピソードである。酒の席でそんな話はいくらでも聞いたし、何のことはない酒の肴くらいにしか聞いていなかった。
そう思うとこの映画は、ごくごく当たり前に「女性への乱暴」が蔓延している昨今の社会に対して一石を投じようという作品なのかもしれない。


酒の席での性被害、集団暴行と被害者・加害者のその後の人生、若気の至りで正当化する風潮への強烈な批判といったメッセージ性がふんだんに盛り込まれつつ、ポップでいて恐ろしい映画になっている。
あとは徹底して色彩が毒々しい。触っちゃいけない毒虫を見てるような感じ。



以下、終盤の僕の感想。
「え、どうすんのこっから?うん、そらそうなるよな。。。うわ怖っ!」
Garikuson

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