Onions

プロミシング・ヤング・ウーマンのOnionsのレビュー・感想・評価

4.5
すごい映画を観てしまった。
ありがたいことに、事前情報なしで見た。頭を殴られた気分。

これを観て、そうそう、そうなんだよ。と思ってしまうことが何より悲しい。
性暴力からなんでもない日常のシーンまで、全て現実が表現されていた。美しくて可愛い映像の中でよりそれが際立つ。

社会的立場があって、決して愛する人を傷つけず、家族を大切にする。世に言う「理想の男性」だって加害者になりうるということ、そして今はそんな立場でも加害者であることを隠して、忘れて生きる者もいるということ。

そう、「将来有望だから」「社会的責任を果たしてるから」「家族を大切にしてるから」許されることではない。
でもそれが許されてしまうという現実。

そして私たちはいつもそれを
傍観してる。
被害者にも非があるんじゃないの?
若かったからね、
あの頃はみんなそうだった、
よくあることだから。
いつも私と私の周りで起きてることなのに、人はどうしても当事者にならない限り、
そうやってあやふやにしてきたじゃないの。

こんなことに共感できることが
本当に恥ずかしい。

そして、
女同士の呪いの描写はすごい。「言われて不愉快になること、でも往々にして言われがちなこと」が死ぬほど詰め込まれてて、
喉が詰まりそうだった。それをこんなにポップに作り上げたの、天才だと思う。

いつも何かと正しく強く戦う主人公じゃなくて良い。
だからこそ私たちに見えてなかった、というより見たくなかったものを見せて気づきを与えてくれる映画になるんだな。
Onions

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