ふじこ

プロミシング・ヤング・ウーマンのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

"プロミシング・ヤング・ウーマン"(成功を約束された女性)だったはずの、元医大生キャシー。今はカフェの店員として親元で暮らしている。
日課はバーで泥酔した演技をして、介抱するフリをして性的な行為に持ち込もうとする男に復讐する事。

最初はキャシーが大学時代の同じような目に遭って、そのトラウマからこんな事を繰り返しているのかと思ったのだけれども。
どうやら彼女の幼馴染で親友ニーナである女性が酷い目に遭い、彼女に付き合う形で大学を辞めて今の生活をしているようだった。
そこに、大学時代の知り合いの男ライアンが偶然カフェに現れてアプローチを受け、捨てた過去が追い付いてきた事に少し苦い顔をしながらも交流を図ると、ライアンから一つの名前を聞く事になる。
アル・モンロー。麻酔科医として成功しており、モデルの彼女と結婚するのだと。

暗い部屋で一人考えを巡らせ、大学時代の知り合いだった女に連絡してニーナの身に起きた事を告げても、彼女は毎日泥酔するほど飲んでいたのだから望まないセックスだってあり得る と今になっても気にする素振りもなかった。
彼女のワインに薬を入れて朦朧とさせ、待機していた男に彼女を任せて出ていく。
当時の大学の学長もまだ現役で、モンローの事は憶えていながら死んだニーナの告発の事は忘れており、このような報告は何度もある 彼女は酔っていたから 疑わしきは罰せず と返す。
変わりにキャシーは彼女の娘をよく知らない男の部屋に置いてきた と告白。一転して激昂する学長に 愛があるかどうかで見え方も変わるわね と、実際はダイナーに置き去りにした娘の居場所を教えて去る。

次に当時のモンローについた弁護士の元へ行くも、彼は心を病んでおり、罰される機会を待っていた。
ニーナの名前も憶えていたし、自分を許せない、眠れないんだ と跪いてキャシーの手を握る。
キャシーはそれを見て あなたを許します と言い残し、外に残した恐らく何の反省もしていなかった時用に雇った男に断って帰る。
そしてもう一人の親友の元へ行き、自分を責めないで みんなのために前に進んで と言われパソコンで監視していたモンローのSNSを削除、復讐の為に使っていた手帳をゴミ箱に捨て、酔った振りで男に制裁しようとしていた所を見られて距離を置かれていたライアンの元へ。
一度は断られるものの、閉店後にやってきたライアンに食事に誘われ、キャシーは彼とどんどん距離を縮める。

そんな中、最初に復讐した酔わせて男と放置した女が会いに来て"あの男とはなんでもなかった"と言質を取りに来る。
ついでに自分の置かれた状況と死んだキャシーのニーナを重ね合わせて、あの頃友人間で回ってきたニーナがレイプされている現場の動画が前の携帯に残っていた と差し出し、二度と連絡して来ないでと言って去る。
その動画を見て、ライアンまでもが現場を笑って見ていた事を知り、覚悟を決めるキャシー。

ライアンの職場に行き、あなたの関係者全員にこの動画を送られたくなかったらアル・モンローの独身最後のパーティーの場所を教えろ と脅す。
あの頃はガキだったんだ 君を愛している 許すと言って と請うライアンに無理よ と返してパーティの場所が書かれたメモを取って去ろうとすると、君は完璧か?恥ずべき過去は?僕はなにもやってないクズ女!と一転。

キャシーは独身最後のパーティーにありがちな派遣された娼婦のフリをしてモンローと2人切りに。
ベッドに寝かせて手錠で張り付け、本名を訊かれた際にはニーナの名前を名乗る。
するとそれまでの態度と打って変わって動揺し、キャシーがニーナの友達である事に気付き、何が目的だ!何もしてない!と騒ぎ、合意の上であったかのように話すが、動画がある事を聞かされて 何でもするから…と泣き出す。

キャシーは医者が夢だったのに諦める事になった話やニーナの事を語り、どれだけ優秀だったか、自分を確立していたか、それなのにレイプされてから突然別のものになってしまった、どこへ行っても自分ではなくあなたの名前が付き纏う、そのせいで命まで失った。
あんたにこそ彼女の名前がついて回るべきじゃない?とメスを取り出してモンローに伸し掛かる。
すると片方の手錠が外れ、逆にキャシーに伸し掛かって足で肩を押さえ、彼女の顔に枕を押し当てる。
やがて動かなくなったキャシーの横で泣きながら夜を明かし、翌朝部屋を訪れたモンローの親友に お前は悪くない、彼女は夜の内に帰った事にしよう 今の内に死体を処分しよう、と言って2人で山の中の積んだ木材の中でキャシーに火を付ける。

キャシーの自宅では両親が失踪を届けを出し、最近は良くなってきていたんだ と精神疾患があった事を認め、警察がライアンの元へ話を聞きにくるも既に別れた事、何処へ行ったかは知らない事、彼女が精神的に不安定だった事を話して息を吐く。

無事に結婚式が執り行われる中、ライアンの携帯にキャシーからメッセージが届く。
開くと送信予約メッセージである旨が表示。

他方、反省の弁を述べた弁護士の元にキャシーから荷物が届く。
モンローのバチェラー・パーティーに行きます。もしわたしが失踪したらこの手紙と荷物を警察に届けて下さい、とのメモとパーティー会場の山小屋の住所、そして例の動画が入っている携帯電話。

"終わったと思ってないよね?"
結婚式の会場にやってくるサイレンを鳴らしたパトカー。
勤め先のカフェのレジに置いた、ニーナとお揃いのハートの片割れのネックレス。
キャシーの遺体を焼いた現場にもひとつ。それを見つける警察犬。
"これからよ"
やってきた警察に殺人容疑で逮捕され連行されていくモンロー。一緒に遺体を焼いた彼の友人は逃げていく。
"結婚式を楽しんで"
"愛を込めて キャシーとニーナより"
" ;) "


最初はバカっぽい復讐ものかと思ったら時間が進むに連れて癒やしの話か…?に変わって、なかなか重たい話になって終わった。
タイトルとジャケットからはなかなか想像のつかない話で面白かったな。この終わり方は結構好みのタイプ ;)
キャシーの余りのニーナへの依存度が高すぎて、そういうもんなんかなぁ と思っちゃうんだけども。
少なくとも4歳の時から知っていて尊敬している幼馴染のメンタルの面倒を診るために一緒に学校を辞めちゃって、彼女が自死してからは学校にも戻らずカフェで働きながら同じような男へなんだかよく分からない復讐?をしている。

そもそも最初の方の段階で、酔った女性を持ち帰って…と考えている男のバカさ加減にも呆れるけれど、碌な自衛の手段もないのにそんな事を繰り返しているキャシーの頭はおかしいのかな?って思ってた。おかしかったんだけども。
暴力的な男だったら何発か殴られて自分も同じ目に遭っていたかも知れないのに。復讐と言うには特にダメージない感じのヌルい説教みたいなレベルだったし、やる意味あるんか?と思っていたのだけれど、キャシーなりの自傷行為だったのかも。
やるならもっとこう…睾丸に電極刺したりして暫く使い物にならないくらいやるのかなあと思ったんだけど。

最初のこの辺の導入が微妙なのと、ニーナがどんな人間だったのか全く分からないからいい年してどんだけ親友に依存してるんだ…病院いけよって気持ちは最後まであったのは間違いないな…。許せない気持ちは仕方ないけれど、もう一人の親友が言っていたように、自分の人生を生きる道もあったんじゃないかなぁ。お父さんが可哀想だ。
ここでもニーナの事が分からないから、彼女もそんな事望んでないよ とかは言えないんだけども。

後半…動画あるじゃん!ってなってからが本番の映画だったな。
"ガキだった"は何の言い訳にもならないし、同じ年でもやらない人の方が多いんだから人間性でしかないし、そもそも"子供だったものね"って物言いは許す側のセリフだろうよ。
"子供のした事ですので…"ってその親が言うみたいな誤用って言うか、厚顔無恥な発言。それが出ちゃう以上、"見てただけ"のライアンの人間性も知れてるよな~
ふじこ

ふじこ