このレビューはネタバレを含みます
この時代にここまで正統派なカッコいい時代劇が観れるなんて、感動。
冒頭の島津藩邸における泥臭く血まみれなアクションからしてもう素晴らしい。
これまでのシリーズ作品に比べてアクションの量自体はそこまで多くはないもののその中でも終盤の戦いは特に創意工夫が凝らされていて個人の人間性を捨てて自分を犠牲にすることで一つずつ抜刀斎の感覚を奪っていく闇乃武メンバーや、
ラスト北村一輝演じる辰巳との戦いでの視覚と聴覚を奪われてもなお自身が斬られる触覚だけで戦い続ける剣心という演出も素晴らしい。この仕掛けがあることで巴を殺めてしまう際の納得度も倍増している。
パンフを読むとこのシーンで佐藤健は目に刺激物をいれていたそうな…いや、本当かよ?
まあ正直その記述も嘘と思えないほどスタッフの気合の入れようがすさまじく、パンフを読んでいるとこのシリーズ5作目を作るにあたっての並々ならぬ思いが記されていた。
今作で時代劇に徹底するために前作ではエンタメに徹した、レーティングについてはいとわない姿勢だったなどプロデューサーからスタッフにいたるまでその熱意が伝わってくる。
過去作、これまでの実写るろ剣シリーズと今作を比較すると過去作の個人的な不満点は大きく以下の二つあって。
1.緩すぎる日常パート
2.不殺のはずなのにそれ死んじゃうよ…という激しいアクション
特に2は谷垣健治さんのアクションは確かに日本映画の歴史を変えるほどのすさまじいアクションでそれこそが実写るろ剣の売りではあるという見方もあるんだろうけど、
逆刃刀というすべての攻撃が峰打ちになるという設定であるものの鉛の塊であれほど激しく殴打されれば無事ではいられないだろうということが気になってしまい、どうしても納得がいかなかった。
しかもそれこそ実写で谷垣さんのアクションがついてしまったからというジレンマでなんとも複雑な気持ちだった。
今作はこの二点
1. 人斬り抜刀斎時代ということでゆるい笑いが一切無い(暗い)
2. 人斬り抜刀斎時代ということでしっかりと殺す(ここにきて初めてアクションと殺傷能力が等価になった!!)
ということで、正直不満点が一つも無い。まさに100点の仕上がり。
ただ一つ不満があるとすれば前作で今作の内容がダイジェストで結末まで流れたこと、これが本当に惜しい。