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生きちゃったの猫のレビュー・感想・評価

生きちゃった(2020年製作の映画)
3.8
リアルな描写に吐きそうになりました。
血とかが出てる訳じゃないけど……
登場人物の多くの人の本音の激しさに、物凄く神経をやられた感じです。

太賀君ってこういう役がピッタリだなぁ。
盗られる方。
……ラストの車内の描写がとても違和感があって、それがどうしてなのかずっと考えてました。女友達同士なら見慣れたシーンなのに、何故?と。
多分、太賀演じる厚久は、
男は泣いちゃいけない、動じてはいけない、みたく育てられたんじゃないかな、と
ふと思いました。

両親の姿に数度違和感。兄を止めず叫ぶだけのところとか、建物をバックに写真を撮るとことか。
この両親こそ対外的には本音を言わずに世間体だけを気にして暮らしてきたんじゃないかな?
だから厚久は、
ふわふわと
現実と自分の心の中の世界とかが分からないような
本当にあの人は居たんだろうか?みたいな感覚で生きて来ていたのかな?と想像しました。
それが最後の男二人の画に関係する訳ではないけれど、身近にそういう知人が居なかった私は
彼の慟哭にシンパシーをおぼえることが出来ませんでした。
理解し辛かったような気がしました。
でもあの二人を女性置き換えたらすんなり胸にストンと落ちるように思うのは
私の中に
男性に対する偏見が有るのかも?と反省しました。
元の婚約者の時には泣いたのだから、その時から心を封印したのかもしれない。
或いは婚約者を傷つけたのだから、全ての事柄は自分への罰のように思っていたのかもしれない。
……なんだか実生活で離婚した監督を見ているような気もしちゃいました。(あ、実際はどうだったか、全く知りません、念のため)
ただ
そういう厚久像を造り上げる事に力を注ぎ過ぎた為、全体のバランスが少し崩れていたように思いました。
何故あの時、妻は実家に頼らなかったのか?あんな犬が庭で買えるほどのおうちですよ。300万出すよ、切羽詰まられるより。
でも、もしかしたら妻も
自分を罰していたのかもしれない。というかバチがあたったみたく思ったのかもです。
お兄さんの描き方もイマイチだったし
お金がない、と言いながら
外でジョッキは傾けれる。
結局、何が描きたかったのか?
自分の気持ちに素直になればいい、と言うことでしょうか?
一番迷惑を被ったのは、子どもだったような気がします。
ともあれ
感情の振り幅に疲れた映画でした。
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