Kaz66

生きちゃったのKaz66のレビュー・感想・評価

生きちゃった(2020年製作の映画)
3.4
んー、なんか不思議な感情を覚える映画でした。
この映画は2019年に香港国際映画祭で発表された『Back to Basic, A Love Supreme(原点回帰。至上の愛)』というプロジェクトで発表された6本の映画の内の一つ(台湾/韓国/中国/マレーシア/香港/日本)。
現実に揺れ動く“人の感情”というところでは『原点回帰』のテーマは感じられたけど、とても『至上の愛』とは思えない内容だった…。他の監督はどんな作品を撮ってるのだろう?(少し気になる…)
その中で日本代表作品を撮ったのは「船を編む」「町田くんの世界」の石井裕也監督。
今、最も“脂の乗ってる” 仲野太賀・若葉竜也の共演(+大島優子)。共演陣もスゴイ人たちで“感情の機微”の演技が凄まじい。
筋を言葉で説明するのはナンセンスだと思うのでしません。原題「All the Things We Never Said」と太賀の台詞『本当のことはうまく言えたためしがないから…』に集約される、現実に向き合えず(自分に言い訳して)、感情に蓋をする事しかできなくて、すべての関係性を歪ませてしまった…男の話です。
感動とか共感はなく、『そうしちゃう(考えちゃう)のも分からなくはない…』ていうところの心の揺れ動きを、俳優たちの凄まじい熱量で表現した、なんとも言えない気持ちになる映画でした。
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