リプリー

さんかく窓の外側は夜のリプリーのレビュー・感想・評価

さんかく窓の外側は夜(2021年製作の映画)
3.9
祓える男と視える男、そして呪える少女…この設定が分かる特報だけで「見たい!」と思えるには十分だった(もちろん平手ちゃんが出ているのも大きな要因であることは否定できないが)ので、原作未読で特に前知識もなく鑑賞。

序盤に割と陰惨なシーンや、主演二人のバディ感もあり期待感は高まっていく。さらには能力を使ったら鼻や耳からドロっと(←ここポイント)血を流すシーンで、「僕好み!」と心の中で拍手を送った。日本で、こういうオカルトミステリが見れるのは本当に嬉しい限り。

しかし問題はクライマックス。
呪いの箱の鍵を開け、そこから何がどうなったらゴールなのかハッキリ明示がされないまま終わってしまう。
アイツの過去が原因ってことなのだろうが、それに対して自責の念に責められるとかそういった場面があまりない。しかも呪いの箱を開けたことで街は凄いことになっているはずなのに、それも見せてくれないのはなんだかな、と。
少女の役割や、どういう形で救われたのかもよく分からないし…。

原作を読んでないので何とも言えないが、中心に据えているこのエピソードを出すにはちょっと早かったというか、この尺で収めるには無理があったんじゃないかと思う。
どうせ続編に含みをもたせるのなら、一作目は冷川の過去は謎のままにして、三角がトラウマを乗り越え、二人の絆が深まるだけに留めておいても良かったんじゃないかな、と。
ただ、そうするといかにもドラマの第一話みたいになってしまい、続編制作が不確実な状況でそれはできなかったんだろうけど…。
何にせよ続編があるならそれは見たいし、続編の中身によって本作の評価がグッと上がるかもしれないけど、単体としての出来はちょっと惜しいというか詰め込みすぎという印象は拭えない。

とまあここまで書いてなんだが、僕はこの作品が好きで、何なら個人的な好みでいうと今年に劇場鑑賞した中で一番良いとすら思っている(まだ3本目だけど)。
多分これから原作は読むし、理解を深めてから2回目見てもいいかもしれない。