メキシコの女性監督による作品で、メキシコ・アカデミー賞では主演女優賞をはじめ多数受賞した作品。
実業家の夫と3人の子供に囲まれた美しい有閑マダムは社交界の女王のように振る舞っている。服を買い漁り、昼間はテニス、夜はパーティ三昧の日々。そして新入りマダムと経済危機により追い詰められていく様が描かれる。
監督は男女平等の権利を妨げてきたのはこうした上流階級の女性たちだったと語る。彼女らは男女平等とは無縁に金と権力を持っているのだから。
今まではそうした上流階級のマダムたちを滑稽に、笑いの種として描いたものが多く、原作となった本(実際に上流階級にいた女性が書いたらしい)でもユーモラスに描かれているという。
しかし監督は彼女たちの視点から描こうと思ったという。その結果として男についていくことしか知らない、それしかできない女たちの愚かさや悲哀がクローズアップして描かれている。
グラフィカルな画面作りにはセンスを感じるし、泣きわめいたりしない抑制された感情表現や演出もとてもいい。
国際的な評価も納得の秀作。