ひでG

パピチャ 未来へのランウェイのひでGのレビュー・感想・評価

3.9
2019年のフランス・アルジェリア映画。

日頃観る機会が少ない国の秀作をこうやって数多の作品の中に含ませてくれるアマプラの作品選定の方々に本当に感謝します。

初めて観るアルジェリア映画。
映画だけでなく、アルジェリアについての知識もごく僅かしかない。

広大な国土、おそらくあまり豊かではない?
元フランスの植民地、
「アルジェの戦い」が有名(未見)
サッカーワールドカップに出て、割と強い、
確か、フランス代表のエムバペのお母さんの母国
そんなくらい知識しかなかったが、本作によって、そこに行きた生身の人間の叫びが聴こえてきた。

「パピチャ」とは、「愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性」という意味。

まさに主人公の女子大生ネジャマのこと。
そして、監督のマニア・メドゥール自身のことでもある。

そう、これはアルジェリアで18歳まで過ごしてフランスに渡り、映画監督になった彼女のほぼ自伝だという。

舞台は、1990年代のアルジェリア。当時のアルジェリアは暗黒の10年と呼ばれた内戦真っ只中。
本作では、戦争場面は出てこないが、国内では新旧の波がぶつかり合っている。

殆どの国民がイスラム教徒であるアルジェリアでは、過激なイスラムグループが、厳格な(前近代的な)戒律を押しつけていく。

つまり、「女性はヒジャブ🧕をして、外に出るな!」というもの。

「パピチャ」である主人公のネジャマは、
学生寮の女子トイレでファッションショーを企画している。

ダンスをする、好きなデザインの服を着たい、着せたい、
欧米の女子大生なら普通の生活や夢のはずが、ここでは弾圧を受ける。

しかも、その弾圧や暴力は、権力側からだけでなく、同じ市民組織からのもの。

今のアルジェリアでの女性の地位や権利については、(調べたが)よく分からないが、

ヒジャブの強要は、昨年のイランでの「逮捕・死亡」事件が起きたばかり。
まさに、真っ只中の世界の課題のひとつだ。

2019年、アルジェリアから発せられたこの映画のメッセージは、全世界を席巻した、
正真正銘の「いまの映画」である!
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