間

パピチャ 未来へのランウェイの間のレビュー・感想・評価

3.7
アルジェリア暗黒の10年“服装”を通して自由を訴えた女性の物語

抑圧や女性を客体化するような目線が生々しく、現実的な話の構成で心が痛かったが、このような事実があったことを忘れないために映画として描く意味をここに感じた。アルジェリア本国で未だ放映禁止であることを考えると都合の悪い事実から目を背けようとしているように感じてなお恐ろしい。
服装という自己表現さえ許してもらえず、ジーンズを履いただけで裸のような格好だと揶揄される世の中は、どこか現在の日本にも通ずるところがあると見ながらずっと考えていた。
「服装は関係ない、偏見が女を殺すの」というセリフに強さを感じる。
男性に女性が抑圧されているだけではなく、イスラム文化を重んじる女性たちからも攻撃を受けているのが衝撃的で、こんな生きづらい世の中で戦い続ける主人公含め女性たちの強い生き様に打ちのめされた。しかしどちらの女性も家父長制の犠牲者という根本は変わらず、日本にも通ずるものがあり恐ろしい。
イスラム教では婚前交渉がタブーであることから、彼女たちの学食の牛乳に性欲抑制剤として臭化カリウムが混ぜられていたということが衝撃的だった。
是非多くの人に観てほしい。
間