ちのも

ミナリのちのものネタバレレビュー・内容・結末

ミナリ(2020年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

アメリカウケする映画だしそういう意味ではうまいこと作られてるけれど、個人的にはバックボーンに親しみがない分その面白みを感じるのが難しかった。ごめん。多分すげー!って言うにはわたしの理解力が足りない。

「車の感じからちょっと前の時代のお話ね、あー出たー雑な父親と真面目な母!子供を味方に付けるやつ!」というスタートから鑑賞。エンドロールの「すべてのおばあちゃんに」で、「あ、そういう風に見る映画だったのか…?まあそうだけれども」となんとなく腑に落ちず、アメリカンドリームと移民家族の肖像と言われて目から鱗がはがれた感じ。最初☆3.2にしてたけどもうちょっと加点しました。

愛すべき、賭け事が好きでおおざっぱで、でもお金のことにはしっかりしているおばあちゃん。デビッドとの交流なんかも面白エピソードだし(教会での余計なこと言うなよー!なシーン最高だった)、最初あれだけ懐かなかったのがついに一緒に寝るところは「おお…」となったものの、『突然やってくるおばあちゃんと孫の映画』としてはオチも含めて個人的には『トイレット』に軍配が上がってしまう(からそういう映画じゃないんだよね、多分)。

子ども視点の「突然やってきたおばあちゃん」に加えて農場のうまくいかなさ、おもむろに差し挟まれる大自然の風景と気象情報、不思議な隣人にひよこ鑑別や教会、ともだちの家で見える世相と、どうもまとまりがなく断片的でううんと思っていたけれど、前述のようなテーマだと思えば上手いこと作ってるな、と見直した。なるほどのアカデミー賞ノミネート、アメリカの人は好きそう。

音楽がけっこう不安を煽る出だしから明るくなったりそのまますうっと終わったり、けっこう印象的だった。あと夜の音も特徴的。衣装は移民にしては綺麗じゃない?というところはご愛敬。夫婦のスタイリングがしっかり彼ららしくて良くもあり悪くもあり。役者、みんなめっちゃ家族でした。英語と韓国語チャンポンで素直にすごい。終盤、食料品店の駐車場で別れ話してる時のジェイコブを映す長尺、スティーブ・ユアンのドラマティックじゃない加減が逆にドラマティック。祖母のユン・ヨジョンの病前病後もすごい。エキセントリックなポールは美味しい役どころでしたね。
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