Kuroita

ミナリのKuroitaのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
3.9
とにかく設えが美しく調和していた。
韓国の家族たちが住むトレーラーハウスも、みんなの洋服も、小綺麗で色彩の感覚もよく、観ていて楽しかった。

ミナリはセリのことなんだな。
雑草だからどこでも茂っていく。
彼らもまた雑草であって、世界に何度叩きのめされても、また地面に繁り、這い上がる力を内に秘めている。
アメリカ人が十字架を信じ、背負い、時には除霊もして、礼拝に行き、それでもなぜか軽薄な様を大人も子供も体現していた。
一方韓国家族は、明日が見えない中で彷徨い、しかし堅実に明日を信じようとしている。
綺麗な水があれば、大丈夫。
それさえあれば、何処でも繋いでいける。
家族が川の字に寝ている様が、まるで一本一本のたくましいミナリみたいに思えた。

竜巻や嵐や災害で、一瞬で吹っ飛んでしまうような小さな場所を、人間は必至に守ろうとするけど、幾度となく倒されて、アメリカという国も人も、少しだけ信じることをあきらめてしまったのかもしれないな。
真摯にもがくとゆう姿勢を韓国家族とおばあちゃんが教えてくれた。

燃え尽きてしまったから、また始まるし、燃え尽きてしまったから、繋がっていく。
Kuroita

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