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MINAMATAーミナマターのニックネームのネタバレレビュー・内容・結末

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ユージン スミスさんに暴行を加えた方は、その後どんな気持ちで生きて、どんな亡くなりかたをしたのだろう…。
もしとても高齢でまだご存命だとしたら、この映画は観ないまでも…どんなことを考えて生きてるのだろう。
そんなとこまでぐるぐる考えながらみた。
脳性まひの方のお体のケアをする仕事なので、「水俣病に似ているようなお体の状態、症状」のかたは
たくさんみていているから
そしてその方たちもまた
「健常者が先だから、申し訳ないとはおもうけど、とにかく何もかも、後回し、又は泣き寝入りさせてください。ごめんだけど無理なので
。」ーってことを強いられたまま生きて(死んで)いくことが
「普通」なんて書きたくないけど
「普通」になってしまうこの世で


なんていうか
この映画にグダグダ評価をつけたりダメ出しをしたくなる方が
日本人にいるとするならば…
「先にやることそれじゃーないだろ。」と思う。
(当時をリアルに生きた当事者は「チッソ」の方側であっても、どの言い分も尊重されるべきで、そしてその子孫はまた別ですが。)
(って付け加えておかないとまたこちらも偏りすぎになるので。)

ユージンスミスさんありきだとは言え、これを作ろうと思ったのが日本人じゃなく
アメリカの映画だったことに
なんかほんとにありがとうとごめんなさいが尽きない。
なんでなんだよもう。

子供のころプラトーンのはじっこのはじっこに出ていて
「あのイケメンは誰?」とスクリーン誌を探してもよくわかんなかったジョニデが
世界のスターになってなってなりすぎてしまって
クレイジーな人生で 
ハリウッドのどれがほんとかわかんないスキャンダルまみれて偉大になりすぎた故の
いつかはぐっちゃぐちゃで巨大な花火みたに散って終わっていく偉大なる俳優さん特有の「お定まりルート」になるかと思いきや

この映画を演ろう。
っていう俳優さんでいてくれて
なんかほんとに嬉しい。
日本人からのありがとうが届いてほしいなあ。

そして以下は
上にいろいろこんなに偉そうなこと書いたくせに
観てる時、邪に映画評論を結局自分もしてるやん!の恥ずかしい感想。

昔むかしのドラマ一回だけでしかみたことなかった美波さんがジョニデの横にいる!!いろいろ素晴らしい!!
あんなスタイルのいいステテコおじさんは生まれて初めてみますが…の浅野忠信さんの「娘は撮らないで」の一瞬の表情と
そのあとの日本人独特のヘコヘコヘラヘラした感じがとってもとっても
日本人だった。
加瀬亮さんの最後のシーンの表情。
生きる。で亡くなっていくビルナイさんが、こっちでは元気で嬉しい。
こんなに日本に関する映画に出てくださりありがとうだ…。
ビルナイさんのユージンから送られてきた写真を観る瞬間のお芝居が一生忘れられないくらい素晴らしく 
そのあとすぐ続いていく「チッソ」のトップの國村隼さんの眼鏡を取ったあとの表情、また眼鏡をかける時の演技も
なんらかの賞をさしあげてくださいどなたか。
ビルナイさんとジョニデと二人の国際黒電話のシーンも圧巻。
真田広之さんがいるからこの映画を観るかたもこれからまた増えると思うと、画面越しにお礼を言ってしまった。
私の初真田広之は「里見八犬伝」(年がばれる)年齢を重ねた真田さんが
変にお肌が不自然ツルツルパツパツになってないところが「本気の俳優でホントの昭和平成令和を全部生きてる大スターそして真正のイケメン」でなんか泣けてくる。

きついこともかいてしまいましたが、ここまでの年月がたって
いろんな陰謀論まで出回る世の中になって
「チッソ」の人々にもなぜか嫌悪感が沸かない。
そっちに生きていたら私もきっとそうなるのだろうと
人間って所詮そんなもんなんだと思う。
だからこそ、この映画を隠さないで
孫の時代は無理でも、未来に…この関係者のひ孫たちが高齢者になるころには
世界からこういうことをした側された側、どちらも許しあえて
なにか偶発的に権利側が不利益や不幸をいわゆる「末端」で日々をギリギリで暮らす側に与えてしまったときも、「お詫びと対処が完璧だからこそ許しあえる。」
そんな形になっていくまで
水俣病当事者の魂たちはずっとどこかから
「観ている」のではないかな。

エンドロールの「水俣」の文字
それを使おうと思った海外のかたの感覚に震えたし
あの字はみんな子供のころから
教科書で習う書けなくても読めるものとして日本人の中には入っているけれど
「ほんとに心に入っていましたか?」と天からずっと問われているような字でした。
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