水俣病は70年頃には日本人の皆が知っている事件で，子供だった私でもチッソとの団体交渉の場面を見たし，女性の叫びも聞いた。何十年もの会社のごまかしが，ついにごまかせなくなったときのことであったことを知ったのは，大学を終わる頃。そしてこの映画でいわれているように，水俣は過去のことという意識を人々が持つようになり，首相が無責任にもそれを口にしたのはつい10年前のことだった。これを米国映画で改めて知ることになるとは皮肉である。
出演しているジョニー・デップが自前で資金を出したという話がある。社会的問題を取りあげたアメリカ映画にありがちな，なんとか安くあげたというのがわかる映画だが，見る価値あり。
