オザキ

死霊館 悪魔のせいなら、無罪。のオザキのレビュー・感想・評価

3.6
進化するバケモノコンテンツ

<あらすじを一言で>
タイトルにある通り、ある事件が悪魔によるものかウォーレン夫妻が調査を行う。

スピンオフを含め今作で7作目となる『死霊館』シリーズ。シンプルに凄すぎやろ。以下に良かった点と悪かった点を分けて述べます。


まず良かった点から。ストーリーが今までのテンプレから大胆に逸脱されています。夫妻が探偵っぽくなったり、敵は悪魔だけでなく生者の”呪い”という新ジャンルが生まれたり。今までの作風が王道過ぎたため、今後は「規定路線のホラーからどう差別化するか」という課題がこのシリーズにはのしかかってきています。というかこれはホラー映画が抱える宿命のジレンマで、シリーズ2作・3作と同じようなことをやってれば観客は慣れてしまうので怖くなくなり、思い切って全く違う驚かせ方に走っても「怖くない」「なんか違う」となってしまう。 その点で、シリーズ7作も排出する『死霊館』はまさにバケモノコンテンツと言えます。 小さな挑戦を繰り返し、観客が続編に期待する恐ろしさを絶妙なバランス感覚で実現する、まさに努力の賜物ではないでしょうか✨

その意味で、ストーリー展開の面白さ/興味深さは前作の質を遥かに凌ぎます。個人的には是非今後も新たな挑戦を続けて欲しい…!!


続けて悪かった点です。ホラー演出の質が明らかに低下したと感じます。チャベス監督の大きな不安要素の1つでしたが、不気味デザインと大きな音に頼りきった演出が目立つ所です。不気味なデザインが悪いわけでは無いですが、視覚で直視できた時点で精神的な怖さは半減。演出の幅も効かせられません。その上、”幻覚”という表現を多用したのも解せない🤔 ”幻覚”はホラーで言うとこのナンデモアリ、いわゆる裏ワザですがこの手のホラーに名作はひとつもありません。特に何度も使用するというのは、個人的に駄作ホラーの象徴とも考えています。 その辺ちょっと安売りしすぎな印象でした。


<総評>
そもそも期待値が高すぎるせいで評価が割れますが、個人的には十分観るに値するホラーだと思います!エンタメ路線でここまで人を楽しませるホラーも稀有ですしね✨
オザキ

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