世評が今一つなので迷ったけど観て良かった。ミュージシャンの夢を諦めかけた青年が松浦亜弥との出会いをきっかけにしがないアイドルオタク達と交流していく話で、男同士がワチャワチャしてるのがめちゃくちゃ楽しい。今泉力哉監督の何気ない日常の描き方はやっぱり上手いね。
松坂桃李が人との交流を通して自分に向き合っていく話が軸になってるんだけど、彼は狂言回しであり、実質的な主役は仲野太賀だと思った。醜態をさらけ出すところに人間味が溢れ出てて、今まで見た彼の演技で一番印象に残った。全体的な雰囲気は「街の上で」と似た感じで、日常の中に笑いを盛り込みつつアルアルな会話が自然に流れるのは邦画で貴重だと思うし、しみったれた感じのない爽やかさに「佐々木、イン、マイマイン 」を連想した。
驚いたのが松浦亜弥の握手会のシーンで、これはきっと顔は出さず背中越しのショットで交わすだろうと思いきや、まさか激似の人を出してくるのがハードル超えの攻めた演出。
東京出身の仲野太賀と若葉竜也が実に自然な関西弁を喋る。ロッチのコカドケンタロウのとぼけたキャラも良かったし、中田青渚と片山友希の注目女優とか、もうとにかく役者さん全員良かった。
題名の「あの頃。」の句点はもちろん「モーニング娘。」から来てるんだね。
